大津法律事務所 〒525-0032 滋賀県草津市大路1丁目15番5号ネオフィス草津5階
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当事務所のご依頼者 妻
当事務所が婚姻費用分担調停・審判を受任して婚姻費用分担額が審判で決まりました。しかし、その後夫が転職によって収入が減少したことを理由に婚姻費用減額調停を申し立ててきました。
そこで、妻は、同調停に対応して欲しいとのことで、当事務所にお越しになりました。
夫は転職により収入が減少したので、婚姻費用の金額については転職後の収入を基準とした婚姻費用算定表に基づいて算出される金額に減額するよう主張してきました。
しかし、大阪高裁の決定(平成22年3月3日)では、婚姻費用分担額について、その変更を求めるには、分担額の変更をやむを得ないものとする事情の変更が必要とし、その判断にあたっては、①退職の理由、②仮に退職がやむを得なかったとしても、その年齢、資格、経験等からみて、同程度の収入を得る稼働能力の有無等を検討すると判断しています。
そこで、当方は、夫の転職による収入の減少は上記決定の要件を満たさず、本件では婚姻費用分担額について、その変更をやむを得ないものとする事情の変更がない旨を主張立証しました。
夫の転職後の収入ではなく、夫の職業・年齢の平均賃金を基準とした婚姻費用算定表に基づいて算出される婚姻費用分担額で調停が成立しました。
婚姻費用分担金の支払義務者は、転職をして収入が減少しても当然に婚姻費用分担額が減額されない可能性があるので、注意が必要です。
特に高収入の時に婚姻費用分担額を決めた方は、収入が減少する転職をする際には注意が必要です。