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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したが、AとYが不貞行為を開始した当時、既にXとAの婚姻関係が破綻していた場合、Yは、慰謝料の支払義務を負担しますか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例④

⑴ XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したが、AとYが不貞行為を開始した当時、既にXとAの婚姻関係が破綻していた場合、Yは、慰謝料の支払義務を負担しますか。

AとYが不貞行為を開始した当時、既にXとAの婚姻関係が破綻していた場合、Yは、慰謝料の支払義務を負担しません。

この点について、最高裁判所は、「甲の配偶者乙と第三丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となる(後記判例参照)のは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。」(最判平成8年3月26日)と判断し、不法行為責任は負担しないと判断しています。

なお、XA間の婚姻関係が破綻した後にAYが不貞行為を開始したのか否かが争点になる事案では、①いつ頃からXA間の婚姻関係が破綻したのか、②いつ頃からAYが不貞行為を開始したのかが争点になることが多いです。

⑵ 婚姻関係の破綻の具体例として、どのようなものがありますか。

婚姻関係が破綻していると認定した裁判例を紹介します。

【東京地判 平成22年 9月 3日】
XとAが完全な別居状態になったのは、「遅くとも平成19年9月以降,XとAは完全な別居状態となったと認められる。」と判断し、かつ、YとAが肉体関係を持った時期について「平成20年11月より前であったことを認めるに足りる証拠はない。」と認定した上で、「そうすると,YとAが肉体関係を持った平成20年11月の時点において,XとAは,少なくとも1年以上の間,完全な別居状態となっており,その時点においてXとAの婚姻関係が修復可能であったことを示す特段の事情も見当たらないから,YとAが肉体関係を持った時点において,XとAの婚姻関係は既に破たんしていたと認めるべきであり,少なくとも,その時点において,XとAの婚姻関係が破たんしていたとYが信じるについて相当の理由があったと認めるべきである。」と判断した。

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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、Yに、Xが興信所等の調査会社に支出した費用(調査費用)の支払義務がありますか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例③

調査に使用した費用が全て損害として認められるものではありませんが、通常必要とされる調査費用の限度で、損害と認められます。
具体的な事案に即して、調査の必要性を詳細に主張することが必要になります。
参考までに、以下の裁判例があります。

【東京地判 平成20年12月26日】
探偵社にAとYの関係把握,Yの素行の調査を依頼し、その結果,YがAと旅行したり,Aを自宅マンションに泊まらせたりしていること,Yの氏名・住所・仕事先などの事実が判明した。この調査費用に125万7605円かかり,Xは,同額の出費を余儀なくされたことから、慰謝料の他にこの出費も損害を構成するとして損害賠償請求をした事案である。
この調査費用に関して「前記認定事実によれば,Xとしては,Yの氏名が本名かどうかも分からず,その素性も明らかでなかったことから,これを明らかにするために探偵社に調査を依頼したものであり,その調査により,YとAが一緒に旅行した際の状況や,Yの自宅にAが一晩滞在した際の状況などが明らかになったものであって,かかる調査は,Yによる不貞行為の存在を立証するための調査として必要性のあったことは明らかというべきである。もっとも,Xが自らの判断により,多額の調査費用を支出した場合,そのすべてが直ちにYの不法行為に起因するXの損害となるというのは不合理というべきであって,通常必要とされる調査費用の限度でYの不法行為と相当因果関係のある損害となると認めるのが相当である。
そして,前記認定のYとAの不貞関係の状況やXが探偵社に調査を依頼した状況等に照らせば,調査費用のうち100万円をもって,Yの不法行為と相当因果関係のあるXの損害と認めるのが相当である。」と判断した。

【東京地判 平成23年12月28日】
調査費用として157万5000円を請求した事案に関して、「これらの事実を踏まえると,前記不法行為の時点において,Xがその立証のために探偵業者に調査を依頼することは,必要かつ相当な行為であったと認められ,本件訴訟においても,上記調査報告書は,Yが自白に転じなければ前提事実(3)イ,ウの不貞行為を立証する上で最も重要な証拠であったといえるほか,同不貞行為が行われた各日におけるAの手帳中の「Y」との記載と相まって他の不貞行為の立証においても一応有益であったといえる。したがって,Xが支出した上記調査料金のうち100万円を,上記不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。」と判断した。

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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、Yとの不倫前におけるX、A間の夫婦関係の状態は、慰謝料請求に影響がありますか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例②

Yとの不倫前におけるXA間の夫婦関係の状態は、慰謝料額を算定する上で影響します。
YがAと不倫関係になった当時、XA間の夫婦関係が破綻していたならば、Yには不法行為責任が発生しません。
また、破綻に至っていなくても破綻寸前の場合には、慰謝料額を算定する上で、係る事実が考慮され、慰謝料の金額が低額に算定される場合が多いです。

参考までに、以下の裁判例があります。

【東京地判 平成19年 4月24日】
「ただし,上述のとおり,XとAの婚姻関係は,AがYと知り合う前から,いわば破綻寸前の状態にあったのであり,また,そのような状態になった原因は,金銭問題に関する考え方の相違など,X及びAの双方の側にあったと解され,Xに比べてAの側により大きな帰責事由があったとは認められないから,結局,Aが不法行為責任を負うのは,破綻寸前にあった婚姻関係を完全に破綻させた部分に限られるということができる(この点は後記5の慰謝料額の判断において考慮すべきものである。)。」と判断し、慰謝料額を算定する上で、YAが不貞行為を開始した当時におけるXA間の婚姻関係の状態を考慮するとしている。

【東京地判 平成23年12月28日】
「XとAの婚姻関係は,上記不法行為当時,上記2で認定したとおり,既に破綻していたとまではいえないものの相当程度に希薄なものであったのであり,両名が離婚に至った原因は,同不法行為だけではなく,Xの不妊治療に関する心ない言動や他の女性との関係を疑わせて省みない態度等からAがXに対して嫌気が差すようになったこと等にもあると認めるのが相当である。」と認定した上で、慰謝料額を算定している。XとAの婚姻関係の状態が希薄であったことを敢えて認定していることから、係る事実は、慰謝料額を算定する上で考慮したと思われます。

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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、YがAから「Xとはうまくいっていない」と言う話を聞いていた場合、Yには不法行為が成立しないのですか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例①

(1)  XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、YがAから「Xとはうまくいっていない」と言う話を聞いていた場合、Yには不法行為が成立しないのですか。

この主張は、不倫相手が、示談交渉や訴訟において、主張してくることがあります。
この主張の法的な意味は、以下の通りです。

最高裁は、「甲の配偶者乙と第三丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないと解するのが相当である」(最判平成8年3月26日)と判断しているため、客観的にXA間の婚姻関係が破綻していなくても、YがAから、夫婦関係はうまくいっていないということを聞き、Yがそのことを信じたので、Yには、慰謝料請求権の発生要件である故意・過失がなく、慰謝料請求権は発生しないというものです。

事案によりますが、不倫相手からのこのような主張は、一般的には認められにくいです。
参考までに以下の裁判例があります。

【東京地判 平成25年9月27日】
「Yは,Aから離婚を考えていることを聞き,Aとの共通のダーツ仲間からも,AとXとの夫婦関係が修復できるような状態でないことを聞いていたという状況下で,Aが,Xと「別れる。」,「必ず離婚する。」と言明したので,Yは,AとXとの夫婦関係は完全に破綻しており,離婚してもおかしくない状態に至っていると信じて疑わなかったと主張するが,Yの主張する状況において,YがYの主張のとおり認識していたことを前提としても,Yとしては,Aの言葉から,XとAとは,別れておらず,離婚もしていないと認識していたものであり,XとAとの婚姻関係が破綻していたと認識していたとまではいえず,そのおそれがあるという程度の認識で,破綻していることを希望していたにすぎないというべきであるから,Yは,Xに対して,不貞行為による不法行為責任を負うというべきである。」と判断した。

【東京地判 平成25年12月17日】 
「Yは,Aから,長期間にわたってXとの不和が続いていた旨を聞かされたこと,Aが心筋梗塞を患ったことから,Aに対して同情の念を抱いた旨主張し,その旨の供述をする。しかしながら,婚姻関係にある一方当事者が,異性に対して自らの家庭が不和であることを告げたとしても,そのことが真実であるとは限らないのであり,Yが,そのようなAの言い分を無批判に受け入れたということもにわかには信用できない。Yの供述する上記事情ないし経緯は,Xに対する損害賠償額の算定に当たって考慮する一事情にとどまるというべきである。」と判断した。

⑵ XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、YがAから「独身である」と言われており、YがそのAの言葉を信じていた場合、Yには不法行為が成立しないのですか。

この主張も、Yは、Aが独身であると信じていたことから、Yには、AX間の婚姻関係を破綻させることについて故意及び過失がないという主張です。
Aの言動、AとYが出会った経緯等から、Aが独身であると、Yが信じたことについて過失があったか否かが争点になります。
参考までに以下の裁判例があります。

【東京地判 平成23年 4月26日】
「Xは,Yが,Aとの交際期間中,Aが婚姻していることを知らなかったとしても,Yには,Aが婚姻していることを知らずにAとの不貞関係を続けたことにつき,悪意と同視すべき重大な過失がある旨をも主張する。
しかしながら,前記(3)で判示したとおり,Yが,渋谷のマンションの室内の様子やAの車の内部の様子から,Aが既婚者であることを容易に知ることができたとの事実を認めるに足りる証拠はない。
むしろ,前記1で認定した事実経過(取り分け,Yは,通常は独身者が参加すると考えられているお見合いパーティーでAと知り合ったこと,Aは,Yとの交際期間中,Yに対し,氏名,年齢,住所及び学歴等を偽り,一貫して独身であるかのように装っていたこと等)に照らすと,通常人の認識力,判断力をもってしてはAが婚姻していることを認識することは困難であったというべきであり,Yが,Aの実母に会って同人からAが既婚者であることを聞かされるまでの間,Aが独身であると信じて交際を続けていたことについて,過失があると評価することはできない。」と過失を否定し、YがAと交際し性交渉を持ったこと等がXに対する不法行為を構成するということはできないと判断した。

【東京地判 平成24年 8月29日】
他の証拠の評価をした上で、「そして,Aが,ホステスとして深夜まで勤務し,Yと深夜電話で会話するなどし,Yに対して前夫と離婚して現在は独身であるなどと述べていたこと,YがAの自宅を訪れたことはなかったことなどからすると,YがAと交際していた当時同人に夫がいないと信じたことに過失があったとはいえないものというべきである。」と判断した。

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