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その他のQ&A

モラハラ夫と離婚を考えています。いつ弁護士に相談した方がよいですか?

1、結論

 モラハラには程度があり、また、相談者が持っている証拠によって、今後の見通しが異なります。

 また、同居中に離婚に向けて準備しておくことがあります。

 従いまして、同居中に、弁護士に相談することをお勧めします。

>>モラハラチェックリストはこちら

2、解説

1 モラハラが離婚原因に該当し、相手方が離婚に拒絶しても離婚できるかについて

⑴ 離婚原因について

 協議離婚・離婚調停においては、民法上の離婚原因があるかどうかにかかわりなく、当事者が真に離婚に合意していれば、離婚が成立します。

 しかし、協議離婚・離婚調停で離婚が成立しない場合でも離婚したい場合には、離婚訴訟を提起し、離婚原因を証拠に基づいて立証し、裁判所が離婚原因を認定しないと離婚が成立しません。

⑵ モラハラは離婚原因に該当するかについて

 では、モラハラは離婚原因に該当するか。

 離婚原因は民法770条に規定されており、モラハラに関しては、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するか否かが問題となります。

 ここに、「婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、婚姻関係が深刻に破綻し、共同生活の回復の見込みがない場合と考えられています。

 具体的には、当事者双方の婚姻の意思の有無、婚姻関係の修復に向けた努力の有無等当事者の態度、子の有無、別居の有無、別居の期間等を考慮して検討されます。

 モラハラも、モラハラの評価を基礎づける事実関係の証拠があり、その証拠によって認定される事実関係が、婚姻関係が深刻に破綻し、共同生活の回復の見込みがないと認定されるのであれば、モラハラも「婚姻を継続しがたい重大な事由」になり得ます。

 但し、モラハラには程度があり、また、証拠の内容も事案により異なりますので、モラハラと主張すれば、必ず離婚原因に該当するものではありません。

 したがって、モラハラの事案は、各事案により今後の見通しが異なります。

 

2 同居中に離婚に向けて準備しておくこと

⑴ 同居中に、①別居後の生活の準備と②相手方の財産の把握をしておくことをお勧めします。

 

① 別居後の生活の準備について

 ア:別居後の収入と支出の見込みを検討しないと、別居後の生活に支障が生じます。

 イ:まず、収入に関しては、ご自身の収入の他に、自分の収入が相手方より少なければ相手方に対して婚姻費用を請求することができます。

したがって、別居する前に、どれくらい相手方から婚姻費用をもらうことができるかについて把握しておくと、別居後の生活の安心に繋がります。

 

  婚姻費用に関して、こちらをご覧下さい。

 

 ウ:次に、支出面ですが、実家に戻るか、自分で新しくマンション等を賃貸するかで支出額が大きく異なります。

 エ:別居後、月々幾らぐらいの収入が見込めて、幾らぐらい支出するかの見通しを立てて、今後の準備をして下さい。

 

② 相手方の財産の把握について

 離婚条件の一つに財産分与があります。

 別居中に相手方が財産を隠したり、また、協議・調停・裁判の際に相手方が一切財産に関する事項を開示してくれないと、適切な財産分与額を受け取れない可能性があります。

 したがって、適切な財産分与額を取得するためには、別居前に相手方の財産に関する情報収集をしておく必要があります。

 

3 同居しているときに弁護士と相談を

 モラハラに関して、ご自身の事案における離婚原因の見込み、及び、離婚に向けての準備のために、同居中に弁護士に相談して、これらの点に関するアドバイスを受けた方が、今後の生活の安心につながります。

 

4 最後に

当事務所では、モラハラで離婚の相談にお越しされた方に、以下のアドバイスをしています。

 

① 本件離婚の解決までのプロセス

② 本件離婚で争点になる見込があること

③ 本件離婚における離婚事由の有無及びその立証の可能性

④ 本件離婚における離婚条件に関すること

⑤ 婚姻費用

 

ご相談者の方から事情を伺い、上記①から⑤の事由に関して、各事案に応じたアドバイスをし、ご相談者の方の新しい生活への第一歩を手助け致します。

 

モラハラで離婚をお考えになったら、まずは、当事務所にご相談ください。

 

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夫から離婚請求されています。離婚させられてしまうのですか。

【事案】

結婚して10年、子供が7歳です。

3年ほど前から、夫は遠方で単身赴任しています。

最初のうちは、1ヶ月に1回程度、戻ってきておりましたが、ここ1年ほど家に帰ってきていません。

今般、夫が離婚したい旨を言ってきていますが、離婚させられてしまうのでしょうか?

 

【回答】

1 結論

 夫からの離婚請求が直ちに認められる可能性は高くはないと考えられます。

しかし、離婚に関する争いが続き別居期間が長引くと、将来の時点において離婚原因が認められ、将来の時点において夫の離婚請求が認めれる可能性があると考えられます。

ただ、この点については、夫が有責配偶者か否かで今後の見通しが異なってきます。

 

このように、離婚に関する問題は、現時点だけでなく今後の見通しも考えて検討する必要があります。

ただ、自分一人でこのような検討をするのは困難と思われますので、夫から離婚したいと言われたら、今後のことについて弁護士に相談することをおすすめします。

>>「離婚したい」と言われた方はこちら

 

2 解説

(1)一方配偶者が、離婚協議・離婚調停を通じて離婚することに拒否した場合、離婚を求める側は、離婚調停後に離婚訴訟を提起し、その離婚訴訟において「離婚原因」を証拠に基づき立証し、その立証により裁判所によって離婚原因が認定される必要があります。

「離婚原因」には、

  ①不貞行為

  ②悪意の遺棄

  ③3年以上の生死不明

  ④回復の見込みのない強度の精神病

  ⑤婚姻を継続しがたい重大な原因

の5つあります。これらの内、いずれかの原因が証拠に基づいて認定されないと、夫の離婚請求は棄却されてしまいます(離婚ができないという結果になります)。

>>離婚に必要となる事由はこちら

 

(2)本件では夫が、「別居期間が長く、夫婦生活が完全に形骸化しているために婚姻を継続しがたい重大な原因がある」と主張してくることが考えられます。確かに別居期間が長ければ夫婦生活は形骸化していると判断される可能性は高まります。

しかし、本件のように別居の理由が単身赴任であるような場合、夫婦関係が破たんしている別居とは異なると判断されるでしょう。特に1年前までは夫も月に1回度程度は帰宅しているので、離婚を前提とした別居と判断される可能性は低いと考えられます。

 

(3)なお、夫の離婚したい原因が浮気の場合には有責配偶者からの離婚請求として、さらに離婚のハードルは高くなります。

この場合は有責配偶者からの離婚請求として、

  ①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと

  ②夫婦に未成熟子がないこと

  ③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情がないこと

が考慮されることになります。

 

  従いまして、妻としては夫の浮気(不貞行為)の証拠があれば、離婚訴訟において夫が有責配偶者であると認定されて、夫からの離婚請求が通常より認められにくくなります。

 

3 まとめ

 以上を踏まえて、今後どのような対応をすればよいか説明します。

自分が離婚したくないと思うのであれば、夫が離婚したいと言ってきた場合でも離婚に応じる必要はありません。

しかし、夫からの離婚の申し出を拒んだ場合、夫が離婚調停を申立ててくることが考えられます。ただ、離婚調停になった場合でも離婚を拒み続けることは可能ですが、この離婚調停で離婚を拒み続けると、離婚が不成立で終了し、その後は別居が続くことになります。

>>調停離婚を弁護士に依頼するメリットはこちら

 

そして、この別居が一定期間経過した後、夫は通常離婚訴訟を提起してきます。

離婚協議中の別居・離婚調停中の別居・離婚調停不成立後の別居・離婚訴訟中の別居と続くと、離婚に関して争っている間の別居期間が長期間になる場合があります。

このような場合、離婚訴訟において、結局婚姻関係が破綻していると認められてしまう可能性があります。

ただし、別居期間が長引いても、夫の不貞行為に関する証拠があり夫が有責配偶者と認定されれば、夫からの離婚請求が有責配偶者からの離婚請求であるとして、通常より離婚請求が認められにくくなります。

 

 以上のとおり、別居が長引くと結局離婚原因が認定されやすくなりますが、この点も夫が有責配偶者と認定されるか否かで異なってきます。

また、夫が離婚を申し出てきた場合、時間の経過とともに法的関係が異なってくるので、今後どのように対応すればよいかについては、短期的な視点だけでなく中長期的な視点で検討する必要があります。

ただ、このような検討を自分一人で行うのは困難ですので、夫から離婚したいと言われたら、今後のことについて弁護士に相談することをおすすめします。

 

当事務所でも離婚に関する相談を受け付けていますので、まずは当事務所にご相談下さい。

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モラハラ夫と離婚を考えていますが、離婚する方法はありますか。

1、結論

 あります。

 まずは、別居を始めることです。

2、解説

 ① モラハラを理由とする離婚協議・調停

 協議離婚・離婚調停においては、民法上の離婚原因があるかどうかにかかわりなく、当事者が真に離婚に合意していれば、離婚が成立します。

 そして、別居していれば、相手方は当初は離婚することに拒んでいても、最終的に協議・調停で離婚に応じることはよくあります。

 当事務所で受任した離婚事件でも、離婚原因がない事案で相手方が離婚することに拒んでいても、最終的に協議・調停で離婚が成立することはよくあります。

 

その理由は、以下の点です。

 一つ目は、婚姻費用に関係します。

 別居する場合、通常、相手方に対して婚姻費用を請求します。相手方にとってその負担が大きいですが、離婚が成立すれば、婚姻費用支払義務がなくなり経済的な負担が少なくなります。具体的には、子がいれば婚姻費用がなくなっても養育費を支払う必要がありますがその額は婚姻費用より安くなり、子がいなければ婚姻費用支払義務がなくなり養育費を支払う必要もないので、離婚が成立すれば月々の経済的な負担が少なくなります。

この婚姻費用が発生しなくなる点に相手方が次第にメリットを感じて、当初は離婚することに拒んでいても、離婚が成立する可能性があるのです。

 

 二つ目は、離婚を前提とする長期間にわたる別居が継続すると、その事実が離婚原因になることが関係します。

 当初の協議・調停時点では別居期間が短くて、その別居が離婚原因になる可能性が低かったとしても、長期間別居した後に調停・裁判をすれば、離婚原因が認定されて離婚が成立する可能性が高まります。

 

 このようなことから、相手方にとっては現時点で離婚を拒んでいても、長期間別居した後であれば離婚が成立する可能性が高くなるので、離婚を拒んでいても意味がないと感じて、当初は離婚することに拒んでいても、離婚が成立する可能性があるのです。

>>離婚に必要な事由についてはこちら

離婚が成立しない場合、別居が続くことになります。

この別居期間ですが、離婚を拒んでいる相手方側からみると、婚姻費用の観点及び、離婚を前提とする長期間にわたる別居が継続するとその事実が離婚原因になる観点からすると、別居期間中は婚姻費用を支払い続け月々の経済的な負担が大きく、かつ、その別居が続いても最終的には離婚原因になってしまうというものです。

このようなことから、通常の事案では、相手方は、離婚を拒んでいても何もいいことはないと感じることが多いです。

以上から、相手方が最初は離婚を拒んでいても、最終的に離婚する意思が生じて協議・調停で離婚が成立することがあるのです。

 

従いまして、モラハラ夫と離婚するには、まずは、別居することです。

但し、別居する前に、離婚に向けて準備した方がよいことがあります。

この点に関しては、以下2項をご覧下さい。

 

② 同居中に離婚に向けて準備しておくこと

⑴ 同居中に、①別居後の生活の準備と②相手方の財産の把握をしておくことをお勧めします。

 ① 別居後の生活の準備について

 ア:別居後の収入と支出の見込みを検討しないと、別居後の生活に支障が生じます。

 イ:まず、収入に関しては、ご自身の収入の他に、自分の収入が相手方より少なければ相手方に対して婚姻費用を請求することができます。

 したがって、別居する前に、どれくらい相手方から婚姻費用をもらうことができるかについて把握しておくと、別居後の生活の安心に繋がります。

 

  婚姻費用に関して、こちらをご覧下さい。

 

 ウ:次に、支出面ですが、実家に戻るか、自分で新しくマンション等を賃貸するかで支出額が大きく異なります。

 エ:別居後、月々幾らぐらいの収入が見込めて、幾らぐらい支出するかの見通しを立てて、今後の準備をして下さい。

 

 ② 相手方の財産の把握について

 離婚条件の一つに財産分与があります。

 別居中に相手方が財産を隠したり、また、協議・調停・裁判の際に相手方が一切財産に関する事項を開示してくれないと、適切な財産分与額を受け取れない可能性があります。

 したがって、適切な財産分与額を取得するためには、別居前に相手方の財産に関する情報収集をしておく必要があります。

 

③ 同居しているときに弁護士と相談を

 モラハラに関して、ご自身の事案における離婚原因の見込み、及び、離婚に向けての準備のために、同居中に弁護士に相談して、これらの点に関するアドバイスを受けた方が、今後の生活の安心につながります。

 

④ 最後に

 当事務所では、モラハラで離婚の相談にお越しされた方に、以下のアドバイスをしています。

① 本件離婚の解決までのプロセス

② 本件離婚で争点になる見込があること

③ 本件離婚における離婚事由の有無及びその立証の可能性

④ 本件離婚における離婚条件に関すること

⑤ 婚姻費用

 ご相談者の方から事情を伺い、上記①から⑤の事由に関して、各事案に応じたアドバイスをし、ご相談者の方の新しい生活への第一歩を手助け致します。

 

モラハラで離婚をお考えになったら、まずは、当事務所にご相談ください。

 

>>モラハラチェックリストはこちら

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SNS(LINE、Facebook等)が不貞(浮気・不倫)行為の証拠になるか

最近では、「夫や妻のスマートフォンをチェックしたら、SNSの履歴から不貞(浮気・不倫)行為が疑われるやり取りを発見しました。LINE等に代表されるSNS上のやり取りが、不貞の証拠になりますか」という相談を受ける機会が増えました。

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2人に1人が利用する、コミュニケーションの主役

近年、年齢を問わず、幅広い年代の方のコミュニケーションツールとして、LINEやFacebook、Twitterに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発達しています。
国内でのLINEの利用者数は6000万人を超え、2人に1人はLINEを利用していると言われます。

気軽なコミュニケーションツールだからこそ、そこでのやり取りから、重大な秘密が明らかになるということもあり、このような相談が増えてきました。

それでは、LINE等に代表されるSNS上のやり取りが不貞の証拠になるかについて、説明します。

文章のやり取りだけでは立証は難しい

この点に関して、不貞行為を立証するためには、原則として肉体関係の存在を立証する必要があるので、その内容自体が、肉体関係の存在を示しているか、写真の内容が肉体関係の存在を示していることが必要だと思われます。
単に、文章のやり取りだけを根拠に、肉体関係の存在を立証することは難しいと思われます。

交渉材料にはなり得る!まずはご相談を

ただ、SNSの内容が不貞行為を立証するための証拠としては不十分であっても、それらを交渉材料として、配偶者や相手方と話し合いを持つことで、配偶者や相手方が不貞行為を自白し、不貞行為を認めるということがあります。

相手方や配偶者が不貞行為を認めた場合、相手方又は配偶者に不貞行為を行った旨の覚書を自筆で作成してもらったり音声を録音したりして、さらなる証拠を残すことが重要です。

配偶者の不貞が疑われる時点で、まずは、当事務所にご相談下さい。

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婚姻費用に関するQ&A

養育費・婚姻費用の回収可能性が高まったと聞きましたが、具体的にどのような手続きで回収可能性が高まったのですか。

1 結論

財産開示手続、給与債権に係る情報についての第三者からの情報取得手続とう手続きで、相手方の勤務先を知ることができる可能性が高まり、給与の差押えによって養育費・婚姻費用の回収可能性が高まりました。

2 解説

(1)強制執行により養育費・婚姻費用の回収可能性が高まりました

 養育費・婚姻費用については、強制執行による回収可能性が高まる改正がなされました。具体的には、以下の手続きを経ることで、相手方が養育費を支払わなくなっても、相手方の勤務先を知ることができる可能性が高まりましたので、その結果、相手方の給与を差押えて養育費・婚姻費用の回収可能性が高まりました。

>>強制執行についてはこちら

 そして、確定判決や家事調停調書だけではなく、離婚協議書も公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)にすることで以下の手続きができるようになりましたので、離婚協議書を公正証書で作成するメリットが高まりました。

 

(2)財産開示手続

 ア、内容

    債務者自身に財産状況を開示させる手続です。

 イ、申立ができる人

    今回改正されて、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者であれば申立ができようになりました。

    従いまして、公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)でも申立ができるようになりましたので、離婚協議書を公正証書で作成するメリットが高まりました。

 ウ、罰則の強化

    罰則が「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」との内容になり刑事罰へと変更され、罰則が強化されています。

 

(3)給与債権に係る情報についての第三者からの情報取得手続

 ア、内容

    市町村又は日本年金機構等に対して、債務者の給与債権に係る情報を取得する手続きです。

 イ、申立ができる人

    一定の要件を満たせば、養育費・婚姻費用の請求権者は申し立てすることができます。

    但し、財産開示期日における手続きが実施された場合において行うことができます。従いまして、この手続きをするには、まず、財産開示手続の申立をする必要があります。

 

(4)まとめ

 従前では、相手方が養育費を支払わなくなった場合、相手方の勤務先を知るのが困難で給与差押えをすることが困難でした。

養育費は支払期間が長いので、相手方と疎遠になることも多く、また、相手方が転職することもあるので、相手方の勤務先を知らない事案が多くありました。

しかし、以上の手続きで、より相手方の勤務先を知ることができる可能性が高まりましたので、相手方の給与を差押えて、養育費・婚姻費用の回収見込みが高まりました。

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夫が突然家を出て行き6ヶ月経ちましが、夫は家を出て行った後一度も生活費を支払ってくれません。私は、私と子供の生活費を夫からもらいたいのですが、どうしたらいいでしょうか?

1、結論

夫に対して婚姻費用分担金の請求をすることが考えられます。

 

2、解説

⑴ 婚姻費用分担金の金額について 

ア、この婚姻費用分担金の額については、裁判所から標準算定方式による算定表が公表されています。この算定表は義務者と権利者の年収が分かれば直ちに金額が算出されますので、実務においてはこの算定表によって算出される場合がほとんどです。

なお、この算定表は令和元年12月に改訂されています。

算定表はこのようなものです。

【婚姻費用算定表のサンプル】

 

イ、但し、この算定表がない類型の事案では、この算定表の基礎となる考え方に基づいて婚姻費用分担金の金額を計算する必要があります。

例えば、子が二人いて別々の親が一人ずつ子を監護する事案は算定表がありませんので、このような事案において婚姻費用分担金の金額を算定するには、婚姻費用算定表の基礎となる考え方に基づいて個別に計算する必要があります。

また、一方に算定表を大幅に上回る年収がある場合、子供の数が多い場合においても、個別に計算する必要があります。、

 

ウ、該当する婚姻費用算定表にご自身と相手方の年収額を当てはめるだけで、概ねの婚姻費用の金額が確認できます。

但し、婚姻費用算定表に年収額を当てはめる場合には、給与所得者と自営業者では内容が異なりますので、ご注意下さい。

 

⑵ 婚姻費用の請求方法

婚姻費用を請求するする方法としては、相手方に対して裁判外で請求する方法と調停・審判という裁判手続を利用して請求する方法があります。

>>協議離婚を弁護士に依頼するメリット

>>調停離婚を弁護士に依頼するメリット

⑶ いつの分から取得できるか

 いつの分からの婚姻費用を取得できるかについては、裁判所は請求時以降とするものが多いです。

 そして、請求時については、調停又は審判の申立時だけでなく、その前に事実上請求していれば、その事実上の請求時も含まれると考えられています。

 但し、請求した事実の証拠を残す必要があるので、内容証明郵便によって請求した方がよいです。

 

⑷ まとめ

 本件では、夫に対して婚姻費用分担金の請求をすることが考えられます。

 そして、相手方に対して婚姻費用分担調停を申立たり、内容証明郵便による請求をすれば、相手方がその時点で婚姻費用を支払わなくても、調停申立時、又は、請求時点まで遡って、婚姻費用分担金を取得できます。

 したがって、速やかに相手方に対して婚姻費用分担調停を申立たり、内容証明郵便による請求をする方がよいでしょう。

 

 ご自身で対応するのが困難と思えば、弁護士に相談することをおすすめします。当事務所でも、婚姻費用・離婚に関する相談を受け付けていますので、まずは、当事務所にご相談下さい。

 

 

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慰謝料に関するQ&A

XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したが、AとYが不貞行為を開始した当時、既にXとAの婚姻関係が破綻していた場合、Yは、慰謝料の支払義務を負担しますか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例④

⑴ XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したが、AとYが不貞行為を開始した当時、既にXとAの婚姻関係が破綻していた場合、Yは、慰謝料の支払義務を負担しますか。

AとYが不貞行為を開始した当時、既にXとAの婚姻関係が破綻していた場合、Yは、慰謝料の支払義務を負担しません。

この点について、最高裁判所は、「甲の配偶者乙と第三丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となる(後記判例参照)のは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。」(最判平成8年3月26日)と判断し、不法行為責任は負担しないと判断しています。

なお、XA間の婚姻関係が破綻した後にAYが不貞行為を開始したのか否かが争点になる事案では、①いつ頃からXA間の婚姻関係が破綻したのか、②いつ頃からAYが不貞行為を開始したのかが争点になることが多いです。

⑵ 婚姻関係の破綻の具体例として、どのようなものがありますか。

婚姻関係が破綻していると認定した裁判例を紹介します。

【東京地判 平成22年 9月 3日】
XとAが完全な別居状態になったのは、「遅くとも平成19年9月以降,XとAは完全な別居状態となったと認められる。」と判断し、かつ、YとAが肉体関係を持った時期について「平成20年11月より前であったことを認めるに足りる証拠はない。」と認定した上で、「そうすると,YとAが肉体関係を持った平成20年11月の時点において,XとAは,少なくとも1年以上の間,完全な別居状態となっており,その時点においてXとAの婚姻関係が修復可能であったことを示す特段の事情も見当たらないから,YとAが肉体関係を持った時点において,XとAの婚姻関係は既に破たんしていたと認めるべきであり,少なくとも,その時点において,XとAの婚姻関係が破たんしていたとYが信じるについて相当の理由があったと認めるべきである。」と判断した。

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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、Yに、Xが興信所等の調査会社に支出した費用(調査費用)の支払義務がありますか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例③

調査に使用した費用が全て損害として認められるものではありませんが、通常必要とされる調査費用の限度で、損害と認められます。
具体的な事案に即して、調査の必要性を詳細に主張することが必要になります。
参考までに、以下の裁判例があります。

【東京地判 平成20年12月26日】
探偵社にAとYの関係把握,Yの素行の調査を依頼し、その結果,YがAと旅行したり,Aを自宅マンションに泊まらせたりしていること,Yの氏名・住所・仕事先などの事実が判明した。この調査費用に125万7605円かかり,Xは,同額の出費を余儀なくされたことから、慰謝料の他にこの出費も損害を構成するとして損害賠償請求をした事案である。
この調査費用に関して「前記認定事実によれば,Xとしては,Yの氏名が本名かどうかも分からず,その素性も明らかでなかったことから,これを明らかにするために探偵社に調査を依頼したものであり,その調査により,YとAが一緒に旅行した際の状況や,Yの自宅にAが一晩滞在した際の状況などが明らかになったものであって,かかる調査は,Yによる不貞行為の存在を立証するための調査として必要性のあったことは明らかというべきである。もっとも,Xが自らの判断により,多額の調査費用を支出した場合,そのすべてが直ちにYの不法行為に起因するXの損害となるというのは不合理というべきであって,通常必要とされる調査費用の限度でYの不法行為と相当因果関係のある損害となると認めるのが相当である。
そして,前記認定のYとAの不貞関係の状況やXが探偵社に調査を依頼した状況等に照らせば,調査費用のうち100万円をもって,Yの不法行為と相当因果関係のあるXの損害と認めるのが相当である。」と判断した。

【東京地判 平成23年12月28日】
調査費用として157万5000円を請求した事案に関して、「これらの事実を踏まえると,前記不法行為の時点において,Xがその立証のために探偵業者に調査を依頼することは,必要かつ相当な行為であったと認められ,本件訴訟においても,上記調査報告書は,Yが自白に転じなければ前提事実(3)イ,ウの不貞行為を立証する上で最も重要な証拠であったといえるほか,同不貞行為が行われた各日におけるAの手帳中の「Y」との記載と相まって他の不貞行為の立証においても一応有益であったといえる。したがって,Xが支出した上記調査料金のうち100万円を,上記不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。」と判断した。

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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、Yとの不倫前におけるX、A間の夫婦関係の状態は、慰謝料請求に影響がありますか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例②

Yとの不倫前におけるXA間の夫婦関係の状態は、慰謝料額を算定する上で影響します。
YがAと不倫関係になった当時、XA間の夫婦関係が破綻していたならば、Yには不法行為責任が発生しません。
また、破綻に至っていなくても破綻寸前の場合には、慰謝料額を算定する上で、係る事実が考慮され、慰謝料の金額が低額に算定される場合が多いです。

参考までに、以下の裁判例があります。

【東京地判 平成19年 4月24日】
「ただし,上述のとおり,XとAの婚姻関係は,AがYと知り合う前から,いわば破綻寸前の状態にあったのであり,また,そのような状態になった原因は,金銭問題に関する考え方の相違など,X及びAの双方の側にあったと解され,Xに比べてAの側により大きな帰責事由があったとは認められないから,結局,Aが不法行為責任を負うのは,破綻寸前にあった婚姻関係を完全に破綻させた部分に限られるということができる(この点は後記5の慰謝料額の判断において考慮すべきものである。)。」と判断し、慰謝料額を算定する上で、YAが不貞行為を開始した当時におけるXA間の婚姻関係の状態を考慮するとしている。

【東京地判 平成23年12月28日】
「XとAの婚姻関係は,上記不法行為当時,上記2で認定したとおり,既に破綻していたとまではいえないものの相当程度に希薄なものであったのであり,両名が離婚に至った原因は,同不法行為だけではなく,Xの不妊治療に関する心ない言動や他の女性との関係を疑わせて省みない態度等からAがXに対して嫌気が差すようになったこと等にもあると認めるのが相当である。」と認定した上で、慰謝料額を算定している。XとAの婚姻関係の状態が希薄であったことを敢えて認定していることから、係る事実は、慰謝料額を算定する上で考慮したと思われます。

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XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、YがAから「Xとはうまくいっていない」と言う話を聞いていた場合、Yには不法行為が成立しないのですか。

XとAが婚姻関係にある夫婦  Aが不倫を行った配偶者  Aの不倫相手がY 事例①

(1)  XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、YがAから「Xとはうまくいっていない」と言う話を聞いていた場合、Yには不法行為が成立しないのですか。

この主張は、不倫相手が、示談交渉や訴訟において、主張してくることがあります。
この主張の法的な意味は、以下の通りです。

最高裁は、「甲の配偶者乙と第三丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないと解するのが相当である」(最判平成8年3月26日)と判断しているため、客観的にXA間の婚姻関係が破綻していなくても、YがAから、夫婦関係はうまくいっていないということを聞き、Yがそのことを信じたので、Yには、慰謝料請求権の発生要件である故意・過失がなく、慰謝料請求権は発生しないというものです。

事案によりますが、不倫相手からのこのような主張は、一般的には認められにくいです。
参考までに以下の裁判例があります。

【東京地判 平成25年9月27日】
「Yは,Aから離婚を考えていることを聞き,Aとの共通のダーツ仲間からも,AとXとの夫婦関係が修復できるような状態でないことを聞いていたという状況下で,Aが,Xと「別れる。」,「必ず離婚する。」と言明したので,Yは,AとXとの夫婦関係は完全に破綻しており,離婚してもおかしくない状態に至っていると信じて疑わなかったと主張するが,Yの主張する状況において,YがYの主張のとおり認識していたことを前提としても,Yとしては,Aの言葉から,XとAとは,別れておらず,離婚もしていないと認識していたものであり,XとAとの婚姻関係が破綻していたと認識していたとまではいえず,そのおそれがあるという程度の認識で,破綻していることを希望していたにすぎないというべきであるから,Yは,Xに対して,不貞行為による不法行為責任を負うというべきである。」と判断した。

【東京地判 平成25年12月17日】 
「Yは,Aから,長期間にわたってXとの不和が続いていた旨を聞かされたこと,Aが心筋梗塞を患ったことから,Aに対して同情の念を抱いた旨主張し,その旨の供述をする。しかしながら,婚姻関係にある一方当事者が,異性に対して自らの家庭が不和であることを告げたとしても,そのことが真実であるとは限らないのであり,Yが,そのようなAの言い分を無批判に受け入れたということもにわかには信用できない。Yの供述する上記事情ないし経緯は,Xに対する損害賠償額の算定に当たって考慮する一事情にとどまるというべきである。」と判断した。

⑵ XがAの不倫相手であるYに対して慰謝料請求したとき、YがAから「独身である」と言われており、YがそのAの言葉を信じていた場合、Yには不法行為が成立しないのですか。

この主張も、Yは、Aが独身であると信じていたことから、Yには、AX間の婚姻関係を破綻させることについて故意及び過失がないという主張です。
Aの言動、AとYが出会った経緯等から、Aが独身であると、Yが信じたことについて過失があったか否かが争点になります。
参考までに以下の裁判例があります。

【東京地判 平成23年 4月26日】
「Xは,Yが,Aとの交際期間中,Aが婚姻していることを知らなかったとしても,Yには,Aが婚姻していることを知らずにAとの不貞関係を続けたことにつき,悪意と同視すべき重大な過失がある旨をも主張する。
しかしながら,前記(3)で判示したとおり,Yが,渋谷のマンションの室内の様子やAの車の内部の様子から,Aが既婚者であることを容易に知ることができたとの事実を認めるに足りる証拠はない。
むしろ,前記1で認定した事実経過(取り分け,Yは,通常は独身者が参加すると考えられているお見合いパーティーでAと知り合ったこと,Aは,Yとの交際期間中,Yに対し,氏名,年齢,住所及び学歴等を偽り,一貫して独身であるかのように装っていたこと等)に照らすと,通常人の認識力,判断力をもってしてはAが婚姻していることを認識することは困難であったというべきであり,Yが,Aの実母に会って同人からAが既婚者であることを聞かされるまでの間,Aが独身であると信じて交際を続けていたことについて,過失があると評価することはできない。」と過失を否定し、YがAと交際し性交渉を持ったこと等がXに対する不法行為を構成するということはできないと判断した。

【東京地判 平成24年 8月29日】
他の証拠の評価をした上で、「そして,Aが,ホステスとして深夜まで勤務し,Yと深夜電話で会話するなどし,Yに対して前夫と離婚して現在は独身であるなどと述べていたこと,YがAの自宅を訪れたことはなかったことなどからすると,YがAと交際していた当時同人に夫がいないと信じたことに過失があったとはいえないものというべきである。」と判断した。

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財産分与に関するQ&A

将来相手方が受け取る予定の退職金は、財産分与の対象になりますか。

1 結論

(1)将来支給される退職金については、支給される蓋然性が高い場合には、退職金も財産分与の対象とするのが判例です。

 

なお、どのような場合に高度な蓋然性が認めれられるかですが、裁判例では、勤務先の企業の規模、勤務年数、定年までの年数、勤務先の退職金に関する規定、財産分与時点において自己都合退職した場合に退職金が発生するか否か等を考慮して判断されます。

>>財産分与について

 

(2)将来支給される退職金が財産分与の対象になる場合、具体的に財産分与の対象になる退職金額はどのようになるかについて説明します。

 

通常別居時に自己都合退職したと仮定した場合の退職金額を基礎とし、勤務期間の内の婚姻から別居時までの同居期間の割合で按分した額を財産分与の対象にすることが実務で多く取られています。

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相手方に財産分与を請求する上で準備することを教えて下さい。

1 結論

財産分与の対象になる財産ですが、相手方が正直に開示しない場合、開示されていない財産を財産分与の対象に含めるのが困難です。

 

ただ、相手方の財産を調査することはできますが、全く手がかりがなく探索的な調査では、功を奏しない可能性があります。

 

従いまして、預金に関しては金融機関名・支店名・口座番号、株式に関しては保管している証券会社名・支店名、保険に関しては保険会社名等、後で家庭裁判所を通じて調査できる程度に、相手方がどこに財産を所持しているかについて把握しておく方がよいでしょう。

>>財産分与を多く獲得するために

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養育費に関するQ&A

相手方が離婚の際の養育費として月6万円を支払うと言っていますが、相手方が約束を守ってくれるか心配です。私は、今後どのように対応したらよいでしょうか?

1 結論

協議段階で離婚問題が解決した場合、離婚の条件に関する合意内容を離婚協議書や公正証書などの書面にしておくことをお勧めします。

2 解説

離婚の際に合意する慰謝料・財産分与・養育費などの支払項目は、きちんと相手方が履行してくれるかどうかが不安なこともしばしばあります。

特に、慰謝料の分割払・養育費は、長期にわたるので、きちんと履行されることを確保しておく必要があります。

>>慰謝料について

>>財産分与について

>>養育費について

また、口約束だけだと、約束内容が不明確で、後日、合意内容についてトラブルが生じる可能性がります。

加えて、口約束だけだと、相手方がそのような約束はしていないという可能性すらあります。

 

そこで、協議段階で離婚問題が解決した場合、離婚の条件に関する合意内容を離婚協議書や公正証書などの書面にしておくことをお勧めします。

当事務所では、離婚協議書の作成も受け付けていますので、まずは、当事務所にご相談ください。

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確実に養育費を取得するためにはどうしたらよいでしょうか。

1 結論

より確実に養育費を取得する方法は、養育費に関する取り決めを公正証書にしておくことです。

>>養育費について

2 解説

(1)養育費の取り決めを公正証書にすると、相手方が養育費を支払ってくれなかった場合、すぐに強制執行することができます。

この場合、どのような強制執行するかと言いますと、預金の差押は困難なことが多く、通常、給与の差押を行います。

 

(2)給与の差押を行うには相手方の勤務先を把握している必要があります。

しかし、養育費は支払期間が長いので、その支払期間中に相手方が転職することがあります。そして、相手方と疎遠になってしまうと相手方の転職後の勤務先を知らないという事態がよくあります。

相手方が養育費を支払わなくなったとき、相手方のその時点の勤務先を知らない場合、従前では給与の差押をすることが困難でした。

 

(3)法改正による変更

ただ、今般、法改正がなされて、養育費の取り決めを公正証書にしておけば、「財産開示手続」を経て「給与債権に係る情報についての第三者からの情報取得手続」を行えば、相手方の勤務先を知ることができる可能性が従前より高まりましたので、従前より給与の差押が行いやすくなりました。

 

(4)まとめ

従いまして、より確実に養育費を取得する方法は、養育費に関する取り決めを公正証書にしておくことです。

公正証書にしておけば、相手方が転職をしても、その転職先を把握できる可能性が高まりましたので、給与の差押により養育費を取得できる可能性がより高まるからです。

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養育費・婚姻費用の回収可能性が高まったと聞きましたが、具体的にどのような手続きで回収可能性が高まったのですか。

1 結論

財産開示手続、給与債権に係る情報についての第三者からの情報取得手続とう手続きで、相手方の勤務先を知ることができる可能性が高まり、給与の差押えによって養育費・婚姻費用の回収可能性が高まりました。

2 解説

(1)強制執行により養育費・婚姻費用の回収可能性が高まりました

 養育費・婚姻費用については、強制執行による回収可能性が高まる改正がなされました。具体的には、以下の手続きを経ることで、相手方が養育費を支払わなくなっても、相手方の勤務先を知ることができる可能性が高まりましたので、その結果、相手方の給与を差押えて養育費・婚姻費用の回収可能性が高まりました。

>>強制執行についてはこちら

 そして、確定判決や家事調停調書だけではなく、離婚協議書も公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)にすることで以下の手続きができるようになりましたので、離婚協議書を公正証書で作成するメリットが高まりました。

 

(2)財産開示手続

 ア、内容

    債務者自身に財産状況を開示させる手続です。

 イ、申立ができる人

    今回改正されて、執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者であれば申立ができようになりました。

    従いまして、公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)でも申立ができるようになりましたので、離婚協議書を公正証書で作成するメリットが高まりました。

 ウ、罰則の強化

    罰則が「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」との内容になり刑事罰へと変更され、罰則が強化されています。

 

(3)給与債権に係る情報についての第三者からの情報取得手続

 ア、内容

    市町村又は日本年金機構等に対して、債務者の給与債権に係る情報を取得する手続きです。

 イ、申立ができる人

    一定の要件を満たせば、養育費・婚姻費用の請求権者は申し立てすることができます。

    但し、財産開示期日における手続きが実施された場合において行うことができます。従いまして、この手続きをするには、まず、財産開示手続の申立をする必要があります。

 

(4)まとめ

 従前では、相手方が養育費を支払わなくなった場合、相手方の勤務先を知るのが困難で給与差押えをすることが困難でした。

養育費は支払期間が長いので、相手方と疎遠になることも多く、また、相手方が転職することもあるので、相手方の勤務先を知らない事案が多くありました。

しかし、以上の手続きで、より相手方の勤務先を知ることができる可能性が高まりましたので、相手方の給与を差押えて、養育費・婚姻費用の回収見込みが高まりました。

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